風邪になると気弱

誰しも、体力に自信がなくなると多かれ少なかれ気弱になる。
健康で、うまくいっているときには気が付かない小さな波風だって顕在化してくる。一旦、立ち止まって自分の歩いている場所をもう一度確認してみたり、不安が大波のように押し寄せてきたり、気が付かなかった大事なものに気付いたり、そんなことがある。

『優しくって少しばか』

信頼【★★★☆☆】
読易【★★★★☆】
意義【★★★☆☆】

優しくって少しばか (集英社文庫)

優しくって少しばか (集英社文庫)

この本は短編集です。
最初の『優しくって少しばか』はちょっと長めの短編です。広告代理店に勤めるコピーライターの主人公が風邪をひいていて、恋人の部屋で寝込んでいます。熱があるせいもあってか、うわごとのように恋人に対する気持ちが語られる。
日常は大人な態度で対処していても、たまに人の心に触れてみるなら、また一歩今とは違う場所に行けるのかもしれない。

他の短編も面白いです、言葉に関する頭の回転の良さみたいなものが感じられる。
原田宗典さんはスバラ式世界 (集英社文庫)シリーズとかハハな人たちなどの気軽に笑える本が上手い。ただその場合は、あまり後に残るものはないのであしからず。
昔付き合ってた彼女の"お母さん"に受けがよくって「次また貸してね」って何度か言われました。

『スメル男』

信頼【★★★☆☆】
読易【★★★★☆】
意義【★★★★☆】

スメル男 (講談社文庫)

スメル男 (講談社文庫)

折角なので、原田宗典さんのものをもう一作ご紹介。
私が読んだ彼の作品の中では一番良かった。
わかりやすい感じで、ちょっと涙モノ(だったような)。
この作品は、また何かの機会に読んでもいいなと思っている。