「量子もつれ」の解釈

私は学生時代に物理を不真面目にかじっていました。
前のエントリでは、10年以上も前の揚水式発電についてのアイデアを恥ずかしながら開陳させてもらいました。横道にそれてこんなことを考えてたんですね。
では物理についてはどんなことを考えていたかというと、同じ頃書いたメモが次のように残っています。

  量子力学再考察
 

  • 1.1 目的

 物理のほぼ全ての分野に、数式とその解釈があるように量子力学のあらゆる分野でもそれはある。ただ他の分野との違いがあるとすれば、解釈におけるいくつかの意味での難しさであろう。
 ここで表そうとするのは、解釈の主流であろうと思われるものに対する考察である。

 A、観測をする前までは、波動関数から導かれる存在確率が物質の状態の表れである。
 B、物質状態の予測は確率でしかおこなえない。
 この二つの部分についてよく考えてみたい。

  • 2.1 確率予測

 確率予測について、統計力学、特に熱統計力学を引き合いに出してみたい。
 統計力学は、個々の細かい情報にとらわれるのではなく全体としての状態を考え、捉えるものである。個々の情報を掴んでいなくても全体としての振る舞いを考えることで、次の状態や変化を統計によって予測できる。
 後でも触れるが、ここで書いておきたいのは、統計力学量子力学の類似性である。つまりは、非常に正確なところは不明であっても確率によって次の状態を予測できるとするところである。

  • 2.2 急激な状態変化

 次は、観測の問題である。
 量子力学では、観測していないときの物質の状態は存在確率の作る雲のような状態であるとしている。そして観測することによって、一定以上の誤差は含みながらも特定な状態に急激に収束するのだという。
 状態の変化はいつ起こったのであろう。厳密にいえば、観測者の意識が認識し始め、し終えた瞬間までの時間、それと同じかそれより少ない時間が状態変化に費やす時間であると思われる。物理的とは言い難いこの状態変化は、果たして物理的モデルとしてふさわしいのだろうか?たとえば観測者の意識が不連続に変化するとしたら。つまり、観測前と観測後の間に時間がないとするならば、有限の距離を無限の速度で状態が変化しているから、相対性理論と背反となる。
 また、状態変化の力はどこに潜んでいるのだろうか。次はそのことも考えてみる。

  • 2.4 分離不可能性

 離れた場所にある、特定の二つのもの同士に現れる遠隔作用がある。アインシュタイン等によって端を発した、量子世界を支配する遠隔作用(entaglement)の代表的な例は光子と偏光によって示される。
 一つの光源から同時に飛び出した光子の対を考える。光子は観測にかかるまでは、偏光の状態は不確定である。
 ところが、遥か彼方に離れても一方の光子の偏光面が観測によって確定した瞬間(同時に)もう一つの光子の偏光面が確定することが実験で確かめられている。
 これは現在、相対性理論を覆すことで説明されている。つまり瞬時(同時)に一方の光子の状態が他方に伝わっているという解釈である。
 他にも、全てのものは互いに切り離すことのできない分離不可能性というもので解釈したりする。
 大きく二つに分けてから次に進む。
 1、相対性理論が間違っている。2、何らかの原因で同じ状態になるのである。

  • 3.1 内部構造の可能性

 現在物理では、物質の有効な最小モデルが波動関数であるといえる。ここでの有効とは数式的にもモデル化されある程度の完成をみているものの事をさす。
 では、その波動関数より小さなレベルでのモデルが有効になりうるか、と考えれば、ありうると答える。
 その理由は第一に、2.1で書いた、量子力学統計力学との類似性から考える。確立予測をする両者には、より小さいレベルの存在という共通項もありうるのではないかということである。ただ、統計力学は誤差を積極的意味で無視(巨視化)するが、量子力学は不確定性によって(例えば)粒子モデルからの誤差を、認識の限界によって強要されているという違いがある。
 第二に、2.2、2.3で書いたように、量子力学のおかしさからである。しかし、このことは量子力学の解釈を手直しをすることによって解決できるようにも思う。
 第三に、2.4の遠隔作用の問題点である。これは、相対性理論を否定するのでもなく、分離不可能ということを言うのでもなく、内部構造、より小さなレベルでの法則によって離れた両者が支配され振舞うと説明すると納得しやすい。
 以上のことから、内部構造の可能性を考えた。

東大、シュレーディンガー猫状態光パルスの量子テレポーテーションに成功
なんてニュースも最近あるわけですが、この「量子テレポーテーション」という言葉がどうにかならないものか。


上のメモ「量子力学再考察」では、すごく控えめに書いていますが、敢えてはっきり書きます。
EPRパラドックスにおいて、量子力学相対性理論パラドックスという意味合いにおいては、量子力学が誤っている」
この意味合いとしては、量子力学は実用上は間違っていないけれどテレポーテーション(笑)という解釈とかは間違っているという考えです。そしてそれは『NHKスペシャルアインシュタインロマン』で量子力学を知って、子供心に素朴にこれはおかしいと隠れた変数理論を直感してから一貫する私の考えです。


不真面目な学生であった私は、そして今よりか情報検索効率が悪かったあの頃は隠れた変数理論さえ知らなかったわけですが。
今改めて確信すること、それは量子力学よりミクロの物理的構造が存在する。
ということです。
量子もつれなんだから、量子の内部構造は当然連関しているわけで、観測したから他方も確定するわけじゃなくて、すでに双方同じ内部構造を持っているだけ。観測者がそれを知らなかっただけ。
観測者が観測手段によって観測対象の状態変化を起こしてしまいますが、量子もつれの他方(観測してない方)の状態が変化するとか、それどんな地動説ですか?という感じです。