『神、人を喰う』

信頼【★★★☆☆】
読易【★★★☆☆】
意義【★★★★☆】
読書メモ:文章に魅力がある

神、人を喰う―人身御供の民俗学

神、人を喰う―人身御供の民俗学

現在、地球で最もやりたい放題なホモ・サピエンス
今まで、様々な人類の障害・障壁をその知恵で乗り越えてきた、そしていつか何かの閊えが取れたように横暴な振る舞いを始めている。
自分が何をしても畏れるものがない、という意識が一つの要因かもしれない。


昔の日本の閉じた社会では、その社会の秩序のため人身御供が行われたという。いや、それは正確な言い方ではない、公的に人間を殺した行為・システムが結果その社会秩序維持に役立っていたという視点か。
周りの人間が殺されたことから
>「自分も何か得体の知れない獰猛な存在に喰われてしまうかもしれない」P13
という生々しい現実的な実感。
それは確かに神やら倫理やらを補足し、内的な規律も補強されそうだ。


自分自身が抱えている幾つかのテーマのうち「暴力とは何か」というのもあるのだけど、本書の後半では「祭り」と「暴力」の関連が語られていたように記憶している。私にとっては新しい視点を与えられ意義ある読書だった。


おまけ
以前、「はてな」で人間の食についての質問があって、回答14.をしました。他にも面白い回答もあるのでどうぞ。
question:1101423669
食もある種の「暴力?」の上に成り立つものでしょうか。