表明

 東北地方太平洋沖地震により、日本及び日本に住む多くの人が多大な損害を受けました。

 地震そのものにより、建築物の倒壊等で瞬く間に人が命を落とし怪我をしました。
 その後、史上稀にみる大規模な津波がかつてない人々を襲い、のみ込みました。逃げ遅れた人、逃げられなかった人、逃がそうと働きかけた人、全てをのみ込んで行きました。
 地震には耐えたが、津波により重大な設備を失った原子力発電所はその後内部の巨大なエネルギーにより、爆発と放射線量の増加、放射性物質の漏洩に繋がり大規模な事故となっています。
 地震津波の被災者は、複合的な災害による救助進捗の困難さ等により命を落とし精神的な負担を負い消耗しています。
 放射性物質の漏洩による影響は重大で、幾つかの直接的な損害と多様な間接的損害をある期間与え続けます。


 そのような事態を各々に把握しながらも、未だ全体像を受け止めきれない私を含めた大多数の人々がいます。多くの人は自分に今できる事、日々の延長を行っています。被災者の苦境を思い、放射線物質への恐れと、電力低下による生活・仕事の困難さの中で将来の不安を抱えています。そして被災者への支援の行動を起こし、冷静な行動に努めています。


 海外に行けば、日本という枠組みが日本人にとってよくできた代えがたいシステムであることに気づく人もいるでしょう。私もそのように感じました。
 地震発生から一週間の後、3月17日の昼間に電車に揺られながら、私はある想いを強めました。
 今後事態が把握されていって、いっそうの混乱が起こることがあるかもしれない。だけれど不安や焦りの中でも、いま自分達にできることを着実に行っている人々のことが無性に愛おしい。この様な社会と、それを作り上げてきた人々が私達にとって、とても大事でうまく表現できないけれど愛着を感じる。
 その後の混乱の増大の予兆を感じても数日が過ぎても、17日に感じた気持ちは確かです。


 だから今、私達がこの未曾有の災害を耐え、自分達で消化し、私達の社会と人々が未来に連なるように願い、努力していく私の意志を表明します。