こぐまとさかな

こぐまとさかなは、深い森のログハウスで平和に暮らしていました。
だけれど、こぐまはあるとき思いました。
いくら大きくても、この金魚鉢では、さかなさんが暮らしづらいだろう。
こぐまはさかなに言いました。
「きっと、キミはこの鉢の中では暮らしていけないよ。もっと大きくなったらこの鉢では狭いからね」
「うううん。大丈夫だよ、今は狭くないしあなたと暮らしているのが幸せだから」
「そうかな。うんそれじゃあ、海に行こうかきっとキミは気に入るよ」


こぐまとさかなは海に行きました。
船に乗って、椰子の木が1本生えた小さな小さな島に行きました。
こぐまは、金魚鉢を抱えてゆっくりと海に注ぎました。
さかなはよろこんで海のなかで泳ぎまわっています。
さかなは、あっというまに大きくなりました。
こぐまはさかなの背中に乗り一緒に遊びます。
海に浮かんだ月をピョンと、飛び越えます。


こぐまは椰子の木を背もたれに、海に浮かぶ月を眺めています。
さかなは泣きたくなりましたが、海の中でなみだはでません。
こぐまとさかなはお互いに、言葉が出てきません。
こぐまとさかなはお別れをしました。